ちょっと思い出した昔の記憶から。
20代前半、家を建て直すので、1Km位離れたアパートに何ヶ月か住んでいた。
そして、家が出来上がり、引っ越しとなった。
家族と、運送屋さんとで引っ越しをしたが、私は先に新しい家で届いた荷物を整理していたものの、その頃読んでいた新井素子の小説を夢中で読んでいて引っ越しそっちのけだった。
それでも引っ越しが終わり、新居で1週間過ごして、新しい家に持ってき忘れたものに気がついた。
インコがいない。
昔、逃げてきたインコを飼い始めてから何羽かのインコが我が家にいたが、その時もまだ1匹のインコが いた。そのインコを引っ越しの時に置いてきてしまったのだ。
平日に仕事をしているあいだは思い出しもしなかった。
休みになって何かが足りない事に気がついて、愕然とする。
慌ててアパートまで行ってみると、何も無い畳の部屋の真ん中に鳥かごが1つだけ残されていて、そしてインコがかごの底に横たわっていた。
駆け寄ると畳の上にぼたぼたと血が落ちた。
何故かその瞬間、涙の代わりに鼻血がだーと出てしまったのだ。(その頃の私は鼻血をしょっちゅう出していたのだが)
もう、畳の上が血溜まりになってしまったがどうしようもなかった。
あの頃の自分の背後に今の自分が立って見ている。