ダムから蛇口まで

8月に入ってから毎日雨が続いているという。1日のうちわずかに青い空が見える日もあったが、最近は気温も低く朝から雨の日が続いている。関東の水不足もすっかり解消されてダムの貯水率も満水に近くなっているところがほとんどになったようだ。

ダムから流れた水は結局のところ家の水道の蛇口から出てくる。遠いダムの話をしても、実は自分の家とつながっている。そのことについて考えている。そして自分のためのメモでもある。

二ヶ月くらい前に駅のコンコースで東京都の水道のフェアのような催しをやっていて、クイズに答えるとグッズがもらえるというようなコーナーで私もやってみた。その中で、2種類の水を飲んでどちらが水道水でどちらが市販のミネラルウォーターか当てるというのがあった。水の味・・私にわかるかしらとちょっと不安だったが、両方とも適度に冷たかったが、片方は塩素の味がかすかにした。冷たくてもわかるということは常温だと美味しくないと感じるのではないだろうか。普段家で飲んでいる立川の水はそこまではっきりわからないと思うが、23区内で汲んできた水だろうか。

私が育ったのは杉並区だが、夏場になると水が温かくなっていくら出しても冷たくならない。その頃龍泉洞の水を買ってそれでご飯を炊いたら明らかに味が違っていて、水の味の違いを感じてしまうと、浄水器も使わないでそのままの水を飲むことには抵抗があった。

それが結婚して立川に来たら、夏でも水を少し使っているとすぐ冷たくなって、多摩川が近いから多摩川の水のせいかと思っていた。多摩川は川の水が秋川などに比べるとダムの下の水を流しているから冷たいのだと聞いて、川の水が冷たいからそこから水道もつながっていると思っていたのだ。

 

さて、多摩信用金庫の広報誌をたまたまもらってきて、8月号を見ていたら、「そうだったのか多摩」という記事に多摩地域の水道のことが載っていた。記事にはなんと多摩地域の水道は多摩川の水が昔は使えなかったとある。以前は羽村取水堰の取水権が旧東京市に属していて、玉川上水を経由して23区に供給されていた。

青梅市が水道事業を始めたのが1928年、八王子市が翌29年。それ以外の自治体は戦後になってからで、それまで人口も少なく地下水に頼っていた。

60年代以降に人口が急増したために多摩川の利用を求める声が高まるが、東京都水道局は利根川の水を水路で荒川と結び、朝霞浄水場に導く計画を進め利根川水系の水を多摩地区にも供給する方針を打ち出す。

今は多摩川の水を東村山、小作、境などの浄水場で処理するとともに、利根川・荒川の水も朝霞浄水場と連絡菅で結ばれた東村山浄水場で処理されてその割合は4〜5割に上るという。多摩川水系は3〜4割で残りが地下水だという。

すると、昔夏に水が冷たいと感じたのは地下水の割合が高かったためのようだ。

最近は以前のようにあまり冷たくなる感じがしない。それは水の割合が変わってきているということなのだろうか。

都全体では利根川荒川水系が8割で多摩川水系が2割だという。その割合からすると、まだ多摩川水系の水が多いのだろうが、実際想像していたよりはるかに私の飲んでいる水道の割合は利根川荒川水系の水の割合が高いのを初めて知った。

多摩地区でもかなり分かれているので東京都水道局のホームページを見るとより自分の住んで居る場所の水がどこの水系かわかる。

www.waterworks.metro.tokyo.jp

 

また記事の続きに戻ると、71年に「多摩地区水道事業の都営一元化基本計画」を策定し、2012年までに26市町村の水道が都営水道に統合された。

統合されていない武蔵野市昭島市羽村市の3市と檜原村は独自の水道を運営している。武蔵野市は8割を深井戸でまかない2割の都水道の供給を受けているが、昭島市羽村市は自前の地下水で運営しているという。

立川市はいつの間にか都の水道局に統合されていたわけで、蛇口から出る水は今日からどこの管轄です、今日の水はどこどこ水系です、などと言わないけれど、いつの間にか変わっていることも多いのだ。

今年の3月には「水道法の一部を改正する法律案」が閣議決定されていて、赤字が多い市町村の水道事業の統合、広域化を促進、将来的に民営化も視野に入れているという。

本当に安心、安全を求めなくてはいけないことは民営化に移行することはとても危険なことだと思っている。

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