藤原新也写真展「沖ノ島 神宿る海の正倉院」

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日本橋高島屋で『沖ノ島ー神宿る海の正倉院』という藤原新也の写真展をやっている。先月、日本野鳥の会の「トリーノ」というビジュアルフリーマガジンのアンケートのプレゼントで招待券が当たったので行ってきた。

藤原さんは「トリーノ」で毎号写真と文を連載して、読むのを楽しみにしているのだが、沖ノ島で写真を撮っていたことは知らなかった。ちょうどタイミングよく?世界遺産に登録された。前に『宗像大社 国宝展』を出光美術館で見たことがある。その時には実際の国宝の展示を見てきたのだが、今回は写真で見る沖ノ島である。

沖ノ島は女人禁制であるが、先日の世界遺産の登録の後で、今年まで一年に一度の大祭では一般人200人の入山が許されていたが、来年からはそれも禁止となったという。藤原さんのように記録のためとか調査とか特別な理由がある人にはまだ行かれるチャンスはあるのかもしれないが、これからはこうした写真や映像のみが見られる世界遺産である。

藤原さんが会場の映像で沖ノ島は何世紀にもわたって人の立ち入りを制限し、情報も遮断された場所であり、現代の人びとの頭の中のつぶやきもネットで拡散される世界とは対極にあると言っていた。

会場は写真オーケーということで、それをSNSで拡散してしまうということは、その対極の沖ノ島の秘密を明らかにするということは、どういうことか。

会場の中でも一番スケールの大きい写真6枚の写真をつなげた誰も足を踏み入れたことのないという本殿裏の森の写真がある。禁足の杜だというのにまるで庭師によってつくられた庭のように感じたという。

その写真を前にしてその秘密を人の踏み入れない世界を感じてみる。

沖ノ島沖津宮に祀られているのは宗像三女神田心姫神(たごりひめのかみ)。宗像大社神職が十日交代で常駐し、一日も欠かすことなく国家安寧の祈りがささげられている。波の荒い玄界灘で、荒天が続くと3週間交替できずに一人で滞在することもあるという。世界遺産に登録されなくても国民たちは知らなくても、ずっと続いてきて、これからも人の出入りを極力拒否し続けて、どこまで続いていくのだろうか。一般の人々はそれをネットで拡散していく。島の本当のその御神体を感じることのないまま。

藤原氏がその女神の姿を想像し、ためらいながらも写真に撮った。雨と風が続き、撮影が難航し、最後の日の夕刻の一瞬。藤原氏の感じた御神体がその姿を現した一瞬である。

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plumarrri.hatenadiary.com

 

今月の初めに羽田の神社に行った時、足元に蟻を見つけた伯母が「ひゃあ、蟻!」というなり足でバンバンと踏み潰そうとしているので、「いや、ここは神社だから・・殺生するのはちょっと・・」と言って止めたが、テレビで散々ヒアリは猛毒とやっていたのを見てすっかり蟻恐怖症になってしまっている。その後で100人死んだのはアレルギー反応のせいで蟻の猛毒ではないということのようで、またその論文があるのかその根拠がよくわからないのか、散々恐怖を煽ったあとで環境省のパンフレットからその部分が削除されたとかで、文は削除されても人の記憶は訂正されず、どんな蟻でも見れば殺せと思い込んだ人たちがいる。ホームセンターの蟻駆除の薬剤もかなり売れたようだし、蟻にとっては人間の方がよっぽど恐怖だろう。

一方で葉っぱも石も人間が踏むことのない世界があり、人間が踏みつけて平気な世界がある。世界は同時に存在している。

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