海へ還る

ポストにNTTのタウンページが入っていた。宛名は書かれていなくてビニール袋に入れられていたので、各家のポストに投函されたのだろうか。うちではいらないと言ったのだったか忘れてしまったが、家にあるタウンページは2004年〜2005年のものが最後になっている。

久しぶりに見て驚いたのは例えば水道衛生工事のページを見ると、Aという会社?名に電話番号が並んでいるが同じ名前の業者が三つあるらしく、その後にアーアーアーアーアステイとか、アーアーアーアンシンと続く。塗装工事、畳張替え、リフォーム、蜂駆除、パソコン修理と色々な職種に同じような表記が並んでいて、電話受付で全てのことを行う業者がいるということなのだろうか。これでは電話をしてもどこの誰にかけているのかわからない。Aというのが正式な会社名とは思えないが、そんな業者に頼む人がいるのだろうか。そして本当に知りたいお店は電話帳に載せていなかったりする。

 

先日、美容院へ行った時に美容師の人に何気なく、今年も実家に帰ったのと聞いたら、去年の夏頃にお母さんが急死したという。一人暮らしでお母さんも美容室をしていたそうだが、朝方家で倒れてそのまま亡くなってしまったという。

月に一度くらいは美容室に通っているのに、それまで知らなかったが、そのお葬式の話を聞いてまた驚いた。

お母さんは生前、周りの人たちに散骨して欲しいと頼んでいたのでその意志に従って海に散骨したのだそうだ。骨は砕けばどこに撒いてもいいのだそうで、その道具をネットでレンタルしたのだけど、手動のものだったので少しづつしかできず、疲れるので家族みんなが交代で作業しなければならず、嫌がっていた家族も最後にみんなで必死に協力して粉にしたそうだ。水に溶ける小袋がついていて、それに小分けして海に投げて、一部は弟の家の庭に囲みを作って椿を植えたという。そして自分の時もそうして欲しいと家族に言ったそうだ。

数年前にそういう話を聞いたら全く違う反応をしたと思うのだが、今その話を聞くと、お母さんは自分の意思をしっかり周りに話していてそれを子供たちも叶えてあげて満足しているのではないかなと思えるのだ。

執着していない人にはお経がなくても自由に魂は帰っていく。

肉体だった原子は地球に還元されていく。そんな気がしている。

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