一冊の本から

石井桃子の『プーと私』に続いて、『新しい大人』を読んだ。その中の1960年代に書かれた、「たいせつな児童図書館」の中で児童図書館の必要性を訴えている。私が小学校に上がる歳に近所に区立の立派な図書館が出来、一階は児童のフロアーであり、とても恵まれていたように思う。本を買うことは特に児童書は今でも高くてこれは読みたいと思うものはとても自由に買えないが、図書館では一回に5冊まで借りることができるのだから、もし図書館がなければ私の活字体験はとても貧しかったろうと思う。

石井さんが書かれた頃よりは児童図書館の環境は良くなったのだろうか。

近くに以前は市役所があったのだが、移転してその建物を改装して、名前は子供未来センターというのだが、中にマンガパークという有料の施設ができた。出来て半年くらいしてたまたま市の窓口に用事があって行った時に見たら、入り口に現在の利用人数が出ていたのだが、その時は平日の昼のせいか4人だった。

入場料を払わないと入れないので入り口を見てきただけだが、その後聞いたら3桁くらいに入場者数になっているようで、混んでいると次回の入場券だか割引券かをくれるそうだ。中で押入れのような空間が設えてあり、家の中でくつろいで読めるというのが人気だそうで、その部分を最近さらに増設したという。絵本のコーナーもあるが、漫画なので、子供だけでなく大人の方がたくさん来ているのだろうか。

市の子育て支援の施設の中にあるのだから、漫画よりも児童書の部分にも力をいれてほしいのだが、漫画で地域振興の方に力が入っているようで、子供や教育の方は後ろに置かれているような気がしなくもない。

 

また別の同じ頃の、「うつつをぬかす本」という編の中で、一生のうちに、うつつをぬかす本、死ぬ前にそれにめぐりあえたことを喜べる本として3冊の本をあげている。

その最後に『鼠夫婦一代記』という本が挙げられている。初めて聞いた題名だけど、もう読みたくてゾクゾクする。題がいいのだけど、内容は『ソロモンの指輪』のような動物の行動についてなのかと想像しながら、早速アマゾンで検索するも、中古の本すら見当たらない。次に図書館で検索するが(家のパソコンから検索や予約ができるのでありがたい)

やはりなかった。しかし、検索でちくま哲学の森 5 『自然と人生』の中にその中の一編が載っていることがわかり早速借りてきた。1990年のちくま哲学の森でも中央図書館になくて他の所2箇所にしかなかった。それでもパソコンから予約すればすぐ近くの図書館に送ってもらえるのはありがたい時代だ。でも古い本がどんどん消えてしまっているような、だんだん手に入りにくくなっているのかという感じは少しする。

さて、「鼠夫婦一代記』より選ばれたのはなんと「百万匹の油虫』という一編だった。まず一番先にこれから読んだのだけで、これがどう哲学なのか自然と人生なのかよくはわからなかった。だって本当にそのままなんですもの・・

一つ、アメリカのクロゴキブリはほとんど飛ばなくて羽があるのが特別だとあり、これは日本のにも当てはまるのか非常に興味が湧いたのだけど、画像が出てきそうなのでネットの検索はできずにいる。

その後でちゃんと最初から『自然と人生』を読み始めた所だが、P・ド・クライフの「レーウェンフック」(『微生物の狩人(上)』からの収録)も良かった。最近になって、フェルメールの絵と福岡伸一さんの本から知ったレーウェンフックのことが書かれている。

こういうつながりが本って面白いと思う。

 

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