昨日、今日と台風が過ぎてから、空は青く空気も澄んでいるようで、窓の外の景色は同じはずなのにすっかり秋の気配である。
昨日読んでいた本の中にピークエンドの法則という言葉があった。
人生の物語を人が判断する時に、直感的にその経験が次第に良くなったのか、悪くなったのか、最後にどう感じたかということに支配されるというものである。
Wikipediaで調べても、ちょっと難しくてちゃんと理解しているかは不明であるが、本の中である実験が紹介されている。それは、ある架空の女性の人生を設定して、ある日交通事故で苦しまずに即死したとする。それまで非常に幸せな一生を送ったとする。(死亡年齢が30歳、あるいは60歳)。もう一つのシナリオは、30年、あるいは60年幸せだったがその後、5年間まずまずではあるが以前程ではない場合。それぞれの人生について、別々の被験者に人生全体をどれ位好ましく感じるか、幸せまたは不幸せの総量をどの程度か答えてもらうというものだ。すると幸せだった年数に関わらず、最後の5年間が幸せでなかっただけで、人々は幸せの総量が大幅に減ったと感じる結果になるという。
人生の長さや総合的な好ましさより、最後の5年間で台無しになったと感じると、直感的に判断するのだという。
人の人生の評価でなくても、自分自身の体験としても持続時間の長さよりも、経験が次第に良くなったか、悪くなったか、最後はどう感じたかによりその体験を判断するのだという。
しかし、そう言われると最後の経験次第で自分の判断が変わってきてしまっているとしたら、最後にハッピーで良かったねと思うのか、最後に良くなかったねと思うのか次第で本当の全体の評価は正しくは認識できていないということなのだ。
今朝の日経の春秋で豊田英二さんのことが書かれていたが、その中で、
自分は満足な人生を送った。そう思うようになったら、その時が終わり。だから「自分の人生がどんなものだったかは考えない箏にしている」と連載(「私の暦書」)の結びに書いている。「人間も企業も前を向いて歩けなくなったときが終わりである」。
自分の人生をどう感じるか、その判断はピーク時と最後の終わり方に左右される法則があるとしても、どんなものだったかなんて考えないと言って100歳まで生きた人の言葉にはかなわない。
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