雨の渋谷

土曜日、雨の中渋谷に居た。最近駅が変わってわかりにくくなったとか、エスカレーターの下りが無くてエレベーターは遠くて乗り換えが大変とかいった声を聞く。

確かに迷路のようになった渋谷の駅周辺を歩いていると、街が有機的に自らの意志で変化していて、人間がだんだん疎外されていくような感覚になる。 

警備員が何人か立っていて大きな声で叫んでいるが、ちっとも聞き取れず、「東横線」と矢印が書かれたものを持っているが、その方向へ進んでみてもヒカリエに通じる以外は道がなかった。

幸いにも私は東横線には用がなかったのであえて探しもしなかったが、とりあえず駅から出ることはできた。

目的のビルは初めてだったが、駅で地図を確認できたので、だいたいの方向がわかりすぐ行くことが出来た。その帰り道にふと、こんなにわかりにくい街なのだから、迷子になることは簡単だろうと敢えて迷子になってみることにした。まずは駅へ向かう道ではなく、横にそれてみる。同じビルから出てきた女性が前を歩いていたので、この付近で働く人か、詳しい人かと思ってみていた。ずんずんと早足で歩いていく。隣の駅くらいまで行くかしらと、何とはなしに付いていくと、何のことは無い、結局遠回りに思えるが渋谷駅に着いた。何故まっすぐビルの前の歩道を直線で行かずにわざわざ2倍くらいの距離を雨のなか歩く必要があるのだろう。ちょっと不思議だった。

        f:id:hidamari39:20130511125332j:plain

 

ヒカリエを見上げて。

        f:id:hidamari39:20130511125252j:plain

振り返ると、東横線のホームです。ここもビルになる予定なのでしょうか。今はがらんとしていて、でもついたて一枚の外の騒がしさと対照的。

        f:id:hidamari39:20130511125244j:plain

で横を見ると川。

         f:id:hidamari39:20130511125840j:plain

高架下をくぐって行くと、「桜通り」という道にでた。行く当てがないのでこの坂を上ってまた下ってきた。天気予報ではそろそろ雨も本降りになると行っていたが、それほどではなかった。「雨の」桜坂というだけで何だかおしゃれな気分になる。

 

結局ヒカリエに行って、(それがまた目の前に見えていても、今度は歩いていける道がかなり遠回りだった)若い女性向きのショッピングビルかと思っていたが、上の階にd47MUSEUMという、デザイン物産美術館があったので見てきた。となりのストアで桑の木のしゃもじを買う。

地下のスイーツ売り場を眺めていたら、ヒカリエ1周年記念の限定のお菓子というのが並んでいて、「あら、もう1年も経ってるんですか?」とすっかりお上りさんなのであった。

 

ヒカリエのトイレに向かう時に出てきてすれ違った老人がいた。チャックは全開で目が遠くを見ている。近くで見守る人の居る様子もない。しかし、足取りはゆっくりだったが、そのまま売り場の人ごみの中に戻っていった。迷っている風ではなかったが、どこへ行くのかまた気になる。

街が人を拒絶しようとしても、人は街で生きていくのだろう。

 

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger... }