人生が変わる時

私がiPhoneのリマインダーのブックリストに「辻 信一」と何から見て書き込んだのか思い出せないのだが(最近の忘れ方ひどすぎる・・)、本屋に行ってみてみたら果たしてビジネスのコーナーに平積みであった。

英国シューマッハー校 サティシュ先生の最高の人生をつくる授業

英国シューマッハー校 サティシュ先生の最高の人生をつくる授業

明治学院大学国際学部教授である、辻信一さんが、ゼミの学生達とイギリスに渡り、「シューマッハー・カレッジ」で一週間の郊外実習を受けた記録である。

 

シューマッハー・カレッジでは学生も講師も掃除、料理、ガーデニングなどの共同生活を送りながら学びを共にする。サティシュの考え方では教育は4つのH、ヘッド(頭)、ハート(心)、ハンズ(手)、ホーム(家庭)のバランスの上に成り立つものだという。頭だけに偏らず、実際の行動や経験から「総体」として世界を捉えるやり方へと、世界観を転換することを目指した学問を行っている。

 

たった一週間の短い間に学生達が変わっていく。

日本に帰ればすぐ就職活動が始まる。しかし、みんな不安を抱えている。自分にだって自信がない、でもみんなと同じように進んでいかなくてはいけないという焦り。

若い彼らがサティシュとの対話の中から彼の言葉をぐんぐんと身体の中に吸い込んでいくように思える。

人間の醜い面に接して絶望的な気持ちになったときにどうすればいいかという学生の質問に、サティシュは人生を庭園に、人間を庭師に喩えて答える。

「もうこれで完璧だ。終わりにしよう。そう考える庭師はいない。植物はどんどん育っていくからね。時には自分の嫌な面、悪い感情が頭をもたげてくることもある。そういうこととうまく折り合いをつけながら、いい庭をつくっていく。それが人生というものじゃないかな。

 そして、他人のであれ、自分のであれ、悪い面ばかりに注目すれば苦しくなってくる。そうではなく、自分の良い面に光を当て、それを育てることに心を配ってほしいんだ」

一つのことを一つの面からしか見ていなかったことに気がついて、べつの見方、考え方を知ると、さらにもっと周り全体が見えてくる。言い換えればいかに今まで見えていないかに気がつくのだ。例えば道ばたの草、鳥の声、木の名前、風の感じ、そんなことにすら気がつかなかったことに。

帰国した学生達の人生がすぐに変化していく。その後、大学を止めたり、休学するものが続出したという。若い心に対する影響力の大きさを感じた。

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