今読みかけの本
- 作者: 鷲田清一
- 出版社/メーカー: 角川学芸出版
- 発売日: 2012/11/22
- メディア: 文庫
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の中からの抜粋。メモ
「 デザインの思想
(略)その深澤さんは、ある著作のなかでとても大切なことを言っている。建築から番組制作まで、おざなりなデザインというのは、どこかひとを軽くあしらったところがある。「『こんなものでいい』と思いながら作られたものは、それを手にするひとの存在を否定する」というのである。
そして深澤さんはこう続ける。人間はあなたは大切な存在で、生きている価値がある」というメッセージをいつも探し求めている生き物だ。だから、「これは大事に使わなければならない」と思わせるもの、あるいは逆に、「手に取った瞬間にモノを通じて自分が大事にされていることが感じられる」もの、それがよいデザインだというのである。」
たしかに、昨日の西友の中で買い物している時に感じているようなことはこういうことなのではないかと、思った。
例えば、中央線が三鷹ー立川間を高架にするにあたって、駅舎の外観、ホームも変わったが、新しくなったとはいうものの、皆どの駅も同じ様なそして、無機質の外観である。電車の中で寝ていてふと止まった駅で目が覚めたとき一瞬壁が見えてもどの駅も同じようで分かりにくい。一駅毎にデザインしていたり、素材に凝っていたら、予算はいくらあっても足りないということなのだろう。でも、毎週のように人身事故で電車が止まっているような現状はなにかしら、こういう状況と関係があるかもしれない。
もし、駅の何かが「あなたはここにいる、特別な人なのだ」というメッセージを送れるとしたら。それは「ちょっと待って」というポスターなどではなく、外の風景を切り取った窓枠に咲く赤い花だったりするのかもしれない。