雨の木曜日、外出せずに本を読む

今年、一番最初に読了した本は『プーと私』(石井桃子)だった。この本はどなたかのブログで知り、昨年本屋さんで見つけたのだ。そして今年一番初めにこの本を読んでよかったと思った。今年一年、あるいは今後の自分にとって宝物になった。私にとって石井桃子さんは子供の頃に読んだ本の翻訳者だったが、私の言葉は石井桃子さんの日本語がとても大きな部分であるようにも感じた。A.A.ミルンやエリナー・ファージョンの物語は石井さんの日本語になってそれが私の中に入っていったのだと改めて思った。そして石井桃子さんがエリナー・ファージョンの『リンゴ畑のマーティンピピン』を訳すのに実際にイギリスの南端、サセックス州へ行ったのが彼女が64歳ごろのことであるのを知って驚いた。さらに、A.A.ミルンの自伝を90歳を過ぎてから5年かけて訳されている。それを読んだら、その本がどうしても読みたくなって、図書館でミルンの自伝を借りてきた。『今からでは遅過ぎる』というその本は506ページもあって図書館の貸出期間2週間で読みきれそうもなかった。いつも読みきれないときにそうしているのだが、パソコンからログインして一度だけ2週間の期間延長ができる。あと五日というのにまだ70ページまでしか進んでいなかったので今回も延長しようとしてみたら、なんと次の予約が入っているという理由で延長不可となっていた。それから必死に読んで期間中に読み終えることができた。

ところで、私にとっての『クマのプーさん』はやはりA.A.ミルンとE.H.シェパードの挿絵の世界でアニメになったり、キャラクターになっているものは別のものという気がする。うちにもそのぬいぐるみはあるのだが、本当のプーさんではないという気持ちがずっとある。とくに日本語になって喋っているのは声も言葉も受け入れがたいものがある。あの声を聞く前は私の頭の中でどんなふうに喋っていたのだろうかと考えるのだけど、もうあの声しか浮かんでこないのがとても悲しい。

ミルンの自伝によると一人息子のクリストファー・ロビンは自分のことをビリー・ムーンと呼び、家族もそう読んだので本の登場人物として有名になってしまった後も本人には影響がなかったと書いているが、果たしてそうだったか。クリストファー・ロビン自身の本が出ていたのを思い出して、今度はそちらを予約した。

ミルン自伝『今からでは遅すぎる』からの引用

P.397

アマチュア軍人時代−13章

(1914~1918)

私はここで、文章に星印をつけ、それまでのところはここで打ち切り、それから先は、「私が再び一般市民の身分に戻ったのは、1919年のことであった」と続けたいと思う。戦争という、あの悪夢のような、精神的、かつ道義的堕落については、考えるだに吐き気がするからである。

この本が出たのが1939年でミルンの生涯が1882年から1956年までとなっているので、彼にとっては幼少の頃からの彼の生い立ちがとても重要であったことはわかるが、あともう少しの人生への言及も是非聞いてみたかった。 

 

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