書きそびれてしまったが、先週は出光美術館で『日本絵画の魅惑(前期)』を見に行った。4月に国宝の俵屋宗達の「風神雷神図」を見てから、尾形光琳、鈴木其一の「風神雷神」を見て、酒井抱一の「風神雷神」まで見ることが出来た。
展示が出光美術館の所蔵のものばかりでまた前期と後期はほとんど入れ替わりとなっていて、後期では抱一の「八ツ橋図屏風」が出ているそうで一回に半分しか見れないのは残念。ミュージアムショップでは何故か国宝の「風神雷神」のミニ屏風とコースター(だったか)を売っていて、酒井抱一のものは無かったのでやはり国宝には敵わないということなのでしょうか。
そして今日は根津美術館で光琳の「燕子花図」と円山応挙の「藤花図」を見に行ってきた。庭園のカキツバタの見頃に合わせて国宝の「燕子花花図」が見られるということで平日でも賑やかだった。
花の盛りはちょっと過ぎた頃か、それでも目を奪われる鮮やかな紫色。
根津美術館と言えば、国宝の「那智瀧図」がある。何年か前に白洲正子さんの『西国巡礼』を読んだらどうしても見たくなり、なんの下調べもせず行ってみたら丁度公開中でじっくりと見てきたことがある。
その時は根津美術館が所蔵している絵を見られるのは当たり前だと考えていたのだが、あとからそれはすごく幸運なことだったと知った。何故なら根津美術館は3年間建て替えで休館していて、丁度開館した記念の特別展で5年ぶりの公開だったところに行ったのだった。
いつでも見られると思ったら大間違いだったのだ。
その時はそうは知らなかったが、その絵を見ることが目的だったので、ずっとその「那智瀧図」を見ていた。しかし、その時からまた5年経って、その時になんて大きいのだろうと思っていたのだが、ネットで解説を見ると縦160.7cmとあり、記憶に残っている大きさがずいぶんと大きくなってしまっていることに気が付いた。
展示室を見ながらあの時は天井が高くなっていたのかしらと考えたけれど、そんなはずも無く自分の錯覚なのだろう。その後公開されていたかはわからないが、2015年4月までのスケジュールを見ても載っていないのでまだ当分もう一度見られる機会はないようだ。それを考えると展覧会で絵が見られる機会というのはとても貴重な出会いなのだと思った。花の盛りに出会えることもまた同じ位幸運なことだけど。
今その5年前に読んだ『西国巡礼』を手に取ってみた。パラパラをめくったら赤ボールペンで線が引いてある。(自分ではもう憶えていなかったが)
そこを引用
月も花も紅葉も、ある日ある瞬間、一生に一度しかみられないものかも知れぬ。年のせいか、このごろしきりに私はそんなことを思う。(P.92)
ある日のある瞬間を逃さない様に毎日を送りたいもの。