日本人はほんとに気が早くて、ハロウィーンの10月31日のお昼にはもうオレンジと黒の飾り付けを取ってクリスマスの飾りに取り替えていたと思ったら、街の中でもクリスマスソングが聞こえ出した。
ルミネでピアノの静かな曲だったけれど懐かしい「グロリア」がかかっていた。向かいからすれ違った男性が口笛ならぬ息を「しゅーしゅ しゅ しゅ」と曲に合わせて奏でていた。
中高生の頃、この季節になると歌っていた。
そうやってある種の歌は昔の自分を蘇らせたりする。
会社勤め4、5年目に同僚と仕事帰りにご飯を食べに行く事になったら、1年位前に転職していった先輩が来ていた。私の一方的な片思いのひと。彼が会社を辞めた後で一枚の葉書をだしたことがある。特別な告白ではなかったけど。たぶん返信も貰ったと思う。それだけ。でも食事が終わって、皆で切符を買っている間に二人だけでさっと消えた。
それで喫茶店で少し話をして、また来週の土曜日に会う事を約束した。
(もしかして、想いがかなうのか)そんな気持ちと裏腹に、当日になって、約束の時間が来てでも家でぐずぐずと支度をしているうちに1時間も遅刻した。
待っててくれると思ったのだ。
でも、いなかった。
1時間待った。
そしたら、ユーミンのデスティニーがかかった。