若冲の絵を観に行った

火曜日に福島県立美術館へ「東日本大震災復興支援 特別展 若冲が来てくれました」を観に行ってきた。一日夏休みということで、朝の4時半に車で家をでて、9時半ちょっと過ぎて美術館へ到着した。

 

2日にブログに書いてから、ネットで調べたら、「象と鯨図屏風」が8月18日まで展示されていると知った。

この絵がどうしても観たかった。この絵を知ったのは2011年に読んだ、福岡伸一さんの『動的平衡』の中だった。本の中でライアル・ワトソンの『エレファントム』の話が紹介されている。それは、ワトソンが南アフリカのクニスナで最後の一頭となった象が、アフリカ大地の海へ切り立ったの崖の上で佇む姿を見つけるのだが、その時、シロナガスクジラが海面に浮かび上がり、低周波の声で語り合い、意志を通じあわせていいるのを感じたという。

その上部にこの絵があったのだが、説明に伊藤若冲の『象鯨図屏風』で、2008年に北陸地方の旧家で見つかったとある。絵について他にその文中では特に触れていない。

 

何もかもがただ不思議な力で私を引き寄せているのを感じた。

それ以来、どうしてもその絵が観たかった。

それはプライスさんが初めてアメリカで葡萄図に会ってから数々の話が本になってしまうように、どこからどこまでが繋がっているのか分からなくなってしまう程、複雑に繋がっている何かがあるような気がしてならない。

 

観たいと思ったとしても、どこで、展示されているのか、普段常設されていないものはいつ観られるか、なかなか巡り会えないものなのだ。その機会がなければ。

ところが、不思議な事にそのお知らせはメールなどではなく、縁のような見えない糸でのみ届く様なこの頃である。だから、ブログに書いた、調べた、18日まで、だったら行けるならば無理をしてでも行くしかないと感じた。

 

今まで展覧会が東京でも開催されて話題にもなっていたが、その頃はまだ若冲の名前もよく知らず、絵すら知らなかった。終わった後で、猛烈に観たいと思ってももう観る事は出来ないのだ。

 

そして、福島という場所も初めて訪れた。修学旅行で岩手、秋田は訪れたが、後は日光くらいまでしか行った事がない。

高速を降りてから、美術館までの道沿いで、「除染中」とあって、作業中の建物が2つ程あった。美術館の玄関にも除染状況、放射能測定値が張り出してあった。

除染の作業中の人以外はごく普通の街とは変わらないのだ。

 

象と鯨は何を話しているのか。『エレファントム』の中では雌象と、雌鯨であるという。若冲は1795年に何を考えていただろうか。

あるいは未来も見えていたのかもしれない。

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伏見人形図 こんな絵もあって、思わず顔がほころんでくる。

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