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心の余裕

何十年か前の話。パスポートを取るためだったか、証明写真を撮ってもらうために、近所の写真屋さんへ一人で行ったことがある。
半地下になっているお店で、階段を降りて、ドアを開けるとおじいさんがいて、私を見るなり、「やあ、お待ちしていました。」
と声をかけた。
私がくる事がまるでわかっていたみたいだった。
お店の佇まいやおじいさんの雰囲気がそんなファンタジーの始まりみたいな記憶として残っている。

この間しばらくぶりで実家の近くのそのお店の前を通ったのでふと、そんな事を思い出した。
もう今は写真やではなく、飲食店に変わっていた。

しかし、その言葉がこうして何十年経ってもはっきりと耳に残っているという事は、今はそれがそのおじいさんにとっての 「いらっしゃいませ」の普通の挨拶であったのだろうと思うのだが若い頃の自分には特別な言葉に思えたからなのだろう。

振り返って、今の自分の中に貴方を待っていたという心の余裕がなくなってしまったように思う。日常のなかでも、だんだんと心の余裕がなくなってくると、ほんの少し心を相手に寄せてみるということができない事が多い。

忙しいのに面倒と思うか、あなたを待っていたと思えるかは自分次第で大きく変わる。

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